競争を勝ち抜いてきたんだ。
 
 
 
■ と、その人は言った。
 自分の若かった頃の話を続けた。
 母校の名前と、自分の生い立ちについて、淀みもなく連ねていた。
「それで、本当にやりたいことは何なの」
 と私に聞いた。
「さあ、なんなんでしょうね」
 と、私は答えた。
 熱くもないけれど、醒めてもいない。